ゆるキャラがフルマラソンに挑戦すると言ったら、「なんて無茶なことを言っているんだ」と思うのではないでしょうか。さらに、完走できなかったら引退すると発表したら、辞めたいのではないかと思われてしまうのも無理もないことでしょう。

日本豆乳協会公式マスコットキャラクターで秋葉原を拠点に活動しているちょうせい豆乳くんが、3月の始めに完走できなければ引退すると宣言したとき、多くの人はこう思ったのではないでしょうか。人間ですら42.195キロを走りきることは誰もができることではないのに、それをゆるキャラがやる。もし本気ならば正気かと?

しかしながら、豆乳くんは、3月27日(日)の佐倉朝日マラソンを5時間55分45秒で完走。多くの人が無謀だと思い、ファンですら不安を感じずにはいられなかった挑戦を見事成し遂げました。

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▲日本豆乳協会公式マスコットキャラクターのちょうせい豆乳くん


豆乳くんがゆるキャラのフルマラソン完走という偉業を達成した2日後、筆者は豆乳くんがアルバイトしているJR秋葉原駅から徒歩5分のところにあるカフェ「issa」を訪れました。

「あら、いらっしゃい!」と迎えてくれた豆乳くんは、フルマラソンの前にお会いしたときとははっきりと違う、すっきりとした表情ですでにいつもどおりに働いました。豆乳くんに大会当日のことやフルマラソンに賭けた思い、さらに、これからの活動などについてお話しを聞かせていただきました。


●完走する自信が確信に変わったのは、ラスト1キロ

―――豆乳くん、完走おめでとうございます! まず、今の気持ちを聞かせてください。

豆乳くん: ありがとうにゅうございます。やっと終わったという感じね。


―――改めて聞きますが、完走する自信はありましたか?

豆乳くん: 走りきる自信は、最初からありました。よっぽどの悪天候や大怪我するとかしない限りは、絶対に完走するって決めていましたから。


―――実際にチャレンジしてみていかがでしたか?

豆乳くん: そうね。ハーフマラソンは経験済みだから中間地点まではペース配分などできていたんだけど、(フルマラソンは初めてだから)そこからは未知の領域だったわ。ハーフ超えたあたりからペースが落ちてきて苦しかった。18キロ地点あたりにものすごい坂があるの。そこで体力使いきってしまって、なんとかハーフ地点までは食らいついていったんだけど、後半はペースダウンしてしまったわ。

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▲フルマラソンを完走し「今は、ライチのようなつるんとした気分」と豆乳くん。


―――残り何キロメートルのところで、ゴールできると確信しましたか?

豆乳くん: ラスト1キロ。


―――最後の最後までわからなかったんですね。

豆乳くん: 最初は、いけると思っていたんだけど、20キロを越えてペースが落ちてきて、30キロあたりから本当に体が動かなくなってきて……。もう「足、動け!動け!」と言いながら前に進んでいたんだけど、ペース的にはどんどん厳しくなっていったの。30キロから40キロまでは不安だったわ。いけると思ったのは、ラスト1キロのところ。伴走してくれていた鬼軍曹さん(埼玉県深谷市のイメージキャラクター「ふっかちゃん」の元アテンド)に残り時間を聞いたとき、「もう大丈夫」と確信に変わったの。本当に最後の最後までわからなかった。もちろん完走できると自分を信じていたけど、タイム的には厳しいかもしれないというのはずっとあったわ。


―――1週間前には、豆乳くんのマネージャーのあべさんが42.195キロを走りましたが、豆乳くんはあべさんのタイムを上回りました。その理由をどう考えていますか?

豆乳くん: みんなに書いてもらった夢を背負って走ったの。夢を叶えたいという気持ちとみんなの声援、そして、みんなの夢が豆乳くんの背中を押してくれたからだと思っているわ。

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▲みんなの夢を背負って走る豆乳くん


―――応援してくれたみなさんのおかげですね。

豆乳くん: そうなの。みんなの応援はすごく大きくて、どれだけ感謝してもしきれないくらいよ。あとね、それに加えてもう1つ要因があるの。


―――何ですか???

豆乳くん: 今回、42.195キロを走った約6時間、1回もトイレに行っていません!!!


―――2月末の深谷シティーハーフマラソン!

豆乳くん: そうなのよ。あのとき、トイレで5分くらいロスをしてしまい、10キロの関門を制限時間内に通過することができなかったの。悔しかったわ……。


―――あれっ? 今回5分ロスしていたら間に合わなかったじゃないですか!

豆乳くん: そう! (完走できたのは)トイレ行かなかったからなの! もし、トイレ行っていたら、ゴールできていなかったかもしれない。これ大きいでしょ? 


―――大きいですね! まさか、まさかの理由でしたが。

豆乳くん: みんなも気をつけてね。特にゆるキャラのみなさん! フルマラソンに挑戦するときは、トイレは事前に済ませておくか、その時間も考えておくようにね。
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▲豆乳くんは、週5日~6日で秋葉原のカフェ「issa」でアルバイトをしている。


―――それにしても、フルマラソンを完走するとは! 本当にすごいことですよね! 私は走ったことがないから、実際のつらさや苦しさはわからなくて、月並みなことしか言えなくて申し訳ないのですが……

豆乳くん: そうね、1回走ってごらんなさいよ。走らないとこの苦しさはわからないから記事にもできないと思うの。走ろう! 次の大会!


―――私は、無理ですよ……

豆乳くん: 無理って言ったら無理なの! いけると思えばいけるの! 豆乳くんも一緒よ。案外いけちゃうんだから。じゃあ来年いきましょう!


―――豆乳くんは、来年も走るんですか?

豆乳くん: もう走んない。今度は、応援にまわるから。もう走んないよ!


―――走るの止めちゃうんですか?

豆乳くん: 豆乳くんは、もういいのよ。走るのが大嫌いだったんだけど、1年半トレーニングを積んできたわ。嫌いなことでも毎日やれば少しずつ好きになって、苦手意識が克服できると思っていたの。でもね……、一切ない!!! 1年半走って、ただただ3月27日で終わる、この日走れば止められる。これだけを糧にやってきたわ。


―――えええーー!! 

豆乳くん: 止められるってわかっているからできるのよ。これが永遠に続いていくのなら耐えられないわ。それくらい無理!


―――ファンのみなさんは、次回もチャレンジすると思っているんじゃないですか? もしくは、もっとすごいことをするとか……

豆乳くん: フルマラソンより大変なことに挑戦するってこと? 


―――トライアスロンという声がありますが……

豆乳くん: 泳いだとたんに顔が溶けますけど! 豆乳くんは、すごい水を吸いますから!
2メートルくらいで溺れちゃいますから!


―――水に入ることは止めましょう。危険です。今度は頭を使うことはどうですか? 

豆乳くん: たとえば?


―――うーん……。円周率を覚えてステージで披露するとか……?

豆乳くん: それ、地味ね。しかも、おもしろくない。そうね……何がいいかしらね? では、募集かけましょう! おもしろいチャレンジがあったら、ハンゲームさんの公式Twitterまでお願いします。


―――えっ! うちですか???

豆乳くん: そうよ。豆乳くんのスタッフ少ないから、ハンゲームさんにマネジメントしてもらうわ。


―――それは、ちょっと……豆乳くんにチャレンジしてほしいことがありましたら、豆乳くんのTwitterにお願いします!

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▲落ち着いた雰囲気の店内


●努力すれば必ず夢は叶うわけではないけど、それでも努力することの大切さを伝えたかった

―――マラソンを始めたのは、「努力すれば必ず夢は叶うわけではないけど、それでも努力することの大切さ」を伝えたかったからでしたね。走り終えた今、それは伝わったと思いますか?

豆乳くん: 伝わったか伝わっていないかは目には見えないものだから、その部分では答えはでないんじゃないかと思う。豆乳くんは、ただ信じるしかないんじゃない? それでいいと思う……あらっ! ちょっとこれカッコイイわね。


―――42.195キロを走りきった人が言うとすごくカッコイイ!

豆乳くん: カッコイイよね! ここ絶対使ってね。

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▲沿道の声援に手を挙げて応える豆乳くん


―――もう1つ、豆乳くんのなかで答えを見つけるために走っているとお話されていましたね。

豆乳くん: これは、見つかりました。豆乳くんは、今までは人間らしさというか成長していく過程をみんなに見てもらっていました。豆乳くんもみんなと一緒で悩みもあるし、ネガティブな部分もあるから、元気なときもあれば落ち込むときもある。そういうのを一緒に分かち合っていけたらと思っていたの。

でも、今はもうその先に行かなくちゃいけないとき。これからは豆乳くんがもっとみんなを引っ張っていけるようになりたいの。うまくいえないんだけど……そうね、ヒーローにならなきゃと思っているわ。もちろん豆乳くんは、まだまだ不十分なところがたくさんあって、もっともっと成長していかなくてはならないんだけど、今回やり遂げたことで先が見えたの。

苦しんできたところはもう十分見てもらったから、これからは元気いっぱいの豆乳くんを見てもらいたいの。今までいっぱいつらい思いをして苦しんで悩んで……でもね、それがあるからこそお馬鹿ができる! 最初からお馬鹿なことだけをしている豆乳くんだったら、伝えられないことはあると思うから。


―――ということは改めてお聞きしますが、引退はしないんですね?

豆乳くん: はい。引退はしません。


―――これからの活動はどうしていきたいと考えていますか?

豆乳くん: 今までは、イベントなどお客様と触れ合うことが多かったんだけど、これももちろん変わらず続けていきたいと思っています。加えて、豆乳くんのことをもっともっと多くの人に知ってもらえるよう、まだ方法は決めてはいないんだけど、たとえば動画などで遠く離れた人にも見てもらえるようなことがしたいの。直接会いに行けないくらい遠くにいる人にも、豆乳のおいしさを知ってもらい、豆乳君を見て笑ってもらえるようなことがしたいのよ。テレビなどのメディアにも出られたらうれしいわね。


―――さらなるご活躍を楽しみにしています! ところで、豆乳くんの夢は何ですか?

豆乳くん: そうね。やっぱり、豆乳くんを見て少しでも多くの女子中高生が豆乳を飲みたいと思ってもらえるようになりたいわ。


―――女子中高生限定ですか?

豆乳くん: もちろんみんなに飲んでほしいけど、メインターゲットはそこね。これよ!

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▲豆乳くんがいつも持っているハリセンには「巨乳祈願」と書かれている。


―――「巨乳祈願」にはそういう意味があったんですか? ずっと豆乳くんの個人的な趣味だと思っていました。

豆乳くん: これ持っていると「豆乳くんは巨乳好きなんだね」って言われるけど違うのよ。活動を始めてから、若い女の子たちから「おっぱいが大きくなりたくて豆乳を飲んでいます」という声をいっぱいもらったの。それで「巨乳祈願」をしているのよ。日本豆乳協会ではさすがにこういうことはできないだろうから、じゃあ豆乳くんがやろうと思ってね。だから、全然いやらしい意味はないのよ。


―――意外と? まじめな豆乳(豆乳くんのキャッチコピー)なんですね。そうそう、フルマラソンの前にもお会いしていますが、今日ははっきりとわかるくらい迷いのないすっきりとした表情をされていますね。

豆乳くん: すっきりしたね。もう走らなくていいんだと思うと、肩の荷が下りるね。もうマラソンは卒業よ! ちょうど年度末(取材時)なのでここは切り替えて、4月から新たな気持ちでいこう!


―――えっーー!! そっちですか? 本当に走ることが嫌いなんですね。では、最後に引退してしまうのではないかと心配していたファンのみなさんにメッセージをお願いします。

豆乳くん: ご心配をおかけしましたが、もう辞めるとはいいませんので許してください。これからは、元気いっぱいの豆乳くんをみんなに見てもらえるよう頑張りますので、変わらない応援をよろしくお願いします。でも、これまでの豆乳くんのことも忘れないでね。

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▲「issa」では、豆乳くんのグッズが購入できる。


【インタビューを終えて】
ステージの上でにっこりと微笑んでかわいく手を振るゆるキャラとは違い、荒ぶり暴れまわりいつも無茶ばかりする――そんなゆるキャラ界の異端児・ちょうせい豆乳くんが、フルマラソン完走という破天荒な挑戦を成し遂げました。

走ることが大嫌いだから、フルマラソンに向けた毎日のトレーニングは、つらいこと感じることばかりだったとか。それに加えて、休日を中心としたキャラクター活動に、週5日~6日のカフェの仕事。大会の前日すら茅ヶ崎のキャラクターイベントに参加されていましたね。

ただでさえ多忙ななか、不可能ではないかと思えるようなことに敢えてチャレンジするのは、体力的にも精神的にも非常に困難なことですが、それができたのは、どうしても伝えたい強い思いをもっていたからかな。成し遂げたいものがあることが人を強くするのかな。そう思いながらお話を聞かせていただきました。

豆乳くんを見ていると、すぐに限界を感じる自分が恥ずかしくなります。

豆乳くんのインタビューは、今回で最後です。豆乳くん、マネージャーのあべさん、ありがとうございました。豆乳くんは、次回はどんなチャレンジで驚かせてくれるのでしょうか? 楽しみにしています!
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【ちょうせい豆乳くん 】
本名トリンドルたかし。
日本豆乳協会公式マスコットキャラクター。
豆乳をPRする活動をしつつ、
現在は秋葉原のカフェ「issa」で皿洗いのバイトをしている。
ちょうせい豆乳くんTwitter
https://twitter.com/mamenitounyu
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●関連リンク
・「辞めるつもりはありません」3月27日(日)のフルマラソンで
完走できなければ引退を表明している「ちょうせい豆乳くん」にインタビュー【前編】

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・わずか4ヶ月で足立区の公式キャラクターから捨て犬に! 
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