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『エルソード』のWEB漫画「ルーとシエルの日常」とcomicoで連載中の『ぼく りゅーちゃん! ~インコと500日漫画家~』の作者、篠月梟太郎(しのつき きょうたろう)さんのイラスト入り色紙を抽選で1名様にプレゼントします!

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オンラインアクションRPG『エルソード』とWebコミックサービス『comico』の人気作家、篠月梟太郎(しのつき きょうたろう)さんがコラボ! 『エルソード』の新キャラクター「ル・シエル」のWEB漫画「ルーとシエルの日常」が誕生しました。

そこで今回は、作者の篠月さんにインタビュー! コラボすることになった経緯はもちろん、漫画を描くようになったひょんなきっかけ、comicoで毎週月曜日に連載中の人気漫画『ぼく りゅーちゃん! ~インコと500日漫画家~(以下、ぼく りゅーちゃん!)』の誕生秘話などを伺いました。人生は本当に不思議です。

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  ▲篠月さんのイラスト入り色紙を抽選でプレゼント!



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Webコミックサービスcomicoで連載中の『失格人間ハイジ』
小説家の夢に破れ、バイト先の書店に契約社員として就職した主人公「灰澤修治(ハイジ)」は、
恋愛や人生に様々なコンプレックスを抱える29歳。
夢と現実の狭間で揺れる微妙な世代をリアルに描いた当作品は、
同世代の若者から大きな共感を呼んでいます。

本作の作者で数ヶ月前までは、ハイジと同じ書店員として働いていた野中かをるさんに
作品への思いや、作品誕生の背景などについて伺いました。

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●学んだことや得たことは、絶対に形にしなくてはならない

―――『失格人間ハイジ』は、夢と現実の狭間で悩む同世代の共感を呼んでいますが、
なぜこの作品を描こうと思われたのですか?

野中さん: 以前の私は、漫画を描きながら、主人公のハイジと同様に書店で働いていました。
漫画は、電子書籍などで何作か発表しており、大ヒットしたわけではありませんが、
まずまずの評価をいただいていました。
だから、頑張れば漫画家を続けていけるのではないかと思っていたのですが、
その後、仕事が途絶えてしまい、青年誌や少年誌への持込を再開させましたがうまくいかず悩んでいました。
同時に書店員としての契約もあと1年と迫っており、崖っぷちだった頃、
comicoからオーディションのお話をいただきました。
20代後半の私は、年齢的に最後のチャンスかもしれないので、
自分のもっているすべての力をだせるよう、
もっとも得意とするものをテーマとした作品で勝負しようと決めました。
それが、人生に迷う29歳を描いた『失格人間ハイジ』でした。

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▲野中さん作の電子書籍『ためらい逢瀬』(ソニー・デジタルエンタテインメント)


―――作品では、書店や出版業界の舞台裏をリアルに描いています。
売れる本のノウハウなども惜しみなく披露されていますが、
これらもご経験からなのでしょうか?

野中さん: はい。書店員として4年半働いていており、ハイジと同じ理系の専門書を担当していました。
大学は文学部だったため、最初はまったく知らない分野ではありましたが、
本や出版業界について知ることができ、最新の情報が得られ、とても楽しかったです。
また、書店では、出版社の新人さんが研修に来られ、
私の上司が売れる本と売れない本の違いなどについて話をする機会が多々あったのですが、
これらを一緒に聞いて学ばせていただきました。


―――書店の経験は、野中さんにとって強力な武器ですね。

野中さん: はい。書店や出版社を舞台としているということもそうですが、
学生時代のアルバイトも接客業で、さらに本屋で働く前は和菓子屋の店長だったので、
店員とお客様との関係も自分にとっては、身近なテーマでした。


―――となると、ストーリーは、野中さんご自身の経験を描いているのですか?

野中さん: 実話というわけではありませんが、どのキャラクターのエピソードも3分の1は、
私自身のことを描いています。そして、3分の1は、特定のモデルがいます。
たとえば、ハイジの親友 嘉納は、大学の友人と職場の友人を足しており、
ハイジの職場の先輩は、私の上司だった人です。
また、ハイジが恋する一色の同僚は、版元の営業さん何人かのイメージを抽出してモデルにしました。
最後の3分の1は、読者の方に多い20代~30代の方のことを観察して描いています。

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▲野中かをるさん

―――ストーリーは、どこで生み出されているのですか?

野中さん: 外で考えることが多いですね。同世代の読者のみなさんを描きたいと思っているので、
喫茶店など人がいるところに行って、知らない人の会話を聞き、
ストーリーの参考にさせていただくことも多いです。
私は、漫画家は外に出なくてはいけないと思っています。
外に出ていろんなものを吸収して、インプットしたものをアウトプットする。
自分が知っている世界だけで作品を描いても、そこには必ず限界があります。
外に出ることは、漫画家だからこそしなくてはならない課題だと私は思っています。

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▲線画は、アナログで描いている。外出先で描くこともあるそう。


―――リアリティのあるストーリーを生むためには、
世の中を知ることが重要なのですね。

野中さん: そうですね。また、自分だけですべてを行おうとするのではなく、
周りのみなさんの意見を聞き、時には助けていただくことも大切だと思っています。
たとえば、16話で一色が熱をだして命からがら帰宅する場面がありますが、
私が最初に描いた一色の部屋は、コートがハンガーにかけられ、かばんも隅に置かれていました。
これを見たcomicoの担当の方から「一人暮らしの女性が、体調の悪いときにはそんなことはしない」
とのアドバイスをいただき、何人かの女性に取材をし、コートは脱ぎっぱなし、
かばんは投げ捨てられた状態のまま、一色をベッドに倒れこませることにしました。
また、同じく16話に一色が、田舎のお母さんと電話で話す場面がありますが、
私は、生まれも育ちも東京なので方言がまったくわかりません。
担当さんに相談して、秋田出身のスタッフさんを紹介していただき、秋田弁に翻訳をお願いしました。


―――細かいことまで、きっちり取材されているのですね。

野中さん: 他にも、取材目的ではない普段の外出が、そのまま漫画のネタにつながることも多いですよ。
たとえば、以前、comicoのスタッフさんとアボカド料理専門店で食事をしたことがあります。
私は、アボカドは好きですが、そのとき男性スタッフの方が
「アボカドってよくわからないな」と話していたので、「これは使える」と思い作品にとりいれました。
むしろ、取材目的でないほうが、視野が広がって思いもよらないことに気づきますね。 
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▲アボカドをワサビと間違えるハイジは、comico男性スタッフの発言がヒントとなっている。


―――もう野中さんの人生そのものが作品ですね。

野中さん: 私は、大学のとき卒論で失敗してしまった苦い過去があります。
太宰治の「パンドラの匣(はこ)」をテーマに選びましたが、
作品への思いが強すぎて自分の感情が前に出過ぎたものとなってしまい、
とても研究論文と呼べるものではありませんでした。
もちろん担当教授からも、「これを『論文』として認めることはできない」と否定されましたが、
最終的には「この作品、作者を扱ったことを将来の糧にできるのなら、卒業させる」と許していただきました。
この経験から私は、自分が学んだこと、得たことは絶対に形にしなくてはいけないという強い気持ちがあり、
そんな思いも作品に盛り込んでいます。
また、私は、太宰作品を「読者が主人公になれる」作品だと思っています。
自身のことや他人のことを題材にした退廃的で青臭い話が多いですが、
それが読者の隠していた本音や弱い部分であり共感を呼んでいます。
絶望的な話であっても常に前を向いており、私はそうした作品に救われてきました。
私もそんな作品を描いていきたいと思っています。

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▲失格人間ハイジ


●WEB漫画でなくては、できないことを追求していきたい

―――作品には、WEB漫画の特性を生かした技法を多数とりいれていらっしゃいます。
特に19話で披露した過去の回想を映画のフィルムにのせて表現する、
フィルムスクロールの技法は実に斬新でしたが、どのように考えられたのでしょうか?

野中さん: comicoは、すごく特徴的な形式ですよね。
だからこそ、私には、紙の媒体などではできない、
comicoでしかできないことをやりたいという思いがあります。
実は、19話を考えていたときは、ちょうどcomicoの担当の方に
お叱りをいただいた時期でもあって、自分にしかできないことを模索していました。
自分にしかできないことを突き詰めていくと、逆に自分ができないことと向き合うことになり、
それは、画力で勝負することでした。
私は、学校などで絵を学んだことはなく、師匠もいないため、ずっと絵にはコンプレックスがあります。
実際に色味が少ないため、クオリティが低いと評されることもありました。
でも、そこで突然色のクオリティを上げても、それでは「テコ入れされたんだ」と思われるだけですよね。
そこを逆手にとって何かできないか、シンプルな色合いだからこそできることがあるのではないかと思い
考え出したのが、月日が経過していく様子や、登場人物の感情を色で表現したあのフィルムスクロールでした。

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秀逸な心理描写が話題となった19話。


―――「こんな表現の仕方があるんだ」と驚いたと同時に、
ゾクゾクしたことを今でもはっきりと覚えています。

野中さん: WEB漫画は、カラーであることや縦スクロールなど特徴がはっきりとしているため、
向いていることもあれば、向いていないことも多々あります。
それを難しい部分と捉える方もいらっしゃいますが、
私は、逆にそういったしばりがあったほうが、やりやすいですね。
『失格人間ハイジ』では、これからもWEB漫画でしかできない表現方法を追求していきたいと思っています。


―――今、comico以外には、どんな活動をされていますか?

野中さん: 同人誌でも漫画を描いています。
こちらは、comicoとは反対に紙でしかできないことを極めていきたいと思っています。
comicoで学んだことを紙の媒体でも行うならどんなことができるのか、今すごく興味があります。
もちろんアレンジは必要だと思っていますが、いろいろと実験していきたいですね。
反対に紙で学んだこともcomicoにも取り入れていきたいです。 
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▲野中さんが参加している同人誌


―――両者を行うことでお互いに良い作用が働き、新たな発見がありそうですね。
ところで、お休みの日は、どんなことをされているのですか?

野中さん: 基本的には出歩くことが好きなので、人に会って話を聞いたり、
喫茶店でコーヒーを飲みながら近くの人の話を聞いたり……
結局、仕事のときと同じようなことをしていますね(笑)。
趣味といえば、最近は、アマチュア演劇を見ることが好きです。
実は、伊勢レイジのモデルは、いろんな舞台に参加しているフリーの役者の友人で、
彼の舞台を見に行くうちにこの世界が好きになって、他の劇団の舞台も見るようになりました。
アマチュア演劇の世界は、書店以上に人間臭いドラマがたくさんあるんですよ。
これもいつか漫画にできないかと思っています。

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▲ハイジのライバル? 伊勢レイジ


―――すべてが、漫画につながっていますね。
お話を聞いていると、やっぱり外に出ることが重要だと再認識します。

野中さん: 漫画家なのにこんなことを言うのも何なんですが、私は、家にいることが好きではないんですよ。
だから、実際に漫画を描くことも外で行うことが多くて、作業道具は家用と外用に分けて2つ用意しています。
喫茶店などでネームやプロットを考えることもありますし、
集中したいときは自習室を借りて色塗りまで行ってしまうこともあります。
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▲野中さんのお出かけセット。外出先で漫画を描くときは、必ず持参するそう。


―――夢を教えてください。

野中さん: 漫画家として成功したいです。
そして、過去の自分のようにくすぶっている人を助けてあげられればと思っています。
それは、自分が漫画家としておもしろい作品を届けることはもちろん、
アシスタントとして雇って成長させることでもできるのではないかと思います。
同じcomico作家で「ジャストポケット!」を描いていらっしゃるすねやかずみ先生のように
漫画家が活躍できる場を作り、講師として後進を育成することにも興味があります。
とはいっても、私には、まだまだそんなキャリアも技量もまったくないので、
まずは、漫画家として一人前になれるよう精進したいです。


―――最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

野中さん: 私は自分がつらいとき、漫画、小説、音楽などに支えてもらい、今があります。
だから、今度は、自分の作品がみなさんの力になることを願い、
同世代の読者が主人公になれるような作品を目指し描いています。
主人公になっていただき、辛い時や迷った時の助けになれれば、こんなうれしいことはありません。
さらに数年後(成長して幸せになった頃に)読み返して「こんな青臭い時期もあったなぁ」と
懐かしんでいただきたいです。 
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▲野中かをるさん

【 インタビューを終えて 】
29歳といえば、人生に迷い、悩み、「これで良いのか」と考え直す時期。
作品を読み、身につまされる思いを感じる方、
過去の自分を思い出して懐かしく感じる方も少なくないのではないでしょうか。
作者の野中さんも同世代で、主人公と同じような苦しい経験をしていますが、
それを乗り越え、すべてを人生の糧にしています。
そんな野中さんからは、経験を重ね、そこから学びを得た人にしかない大人の魅力を感じ、
それがそのまま作品の魅力につながっているように感じました。
「『失格人間ハイジ』は、最後のチャンスだと思っているので、
出し惜しみせず、できることは全部やっているから、
ハイジが終わったら、何をしたら良いかわからなくなりそう」と笑顔を見せる野中さん。
きっと、その頃には、今までにしたことがなかったようなご経験をされて、
それらを元に、リアリティに満ちた新しい作品を生み出されるのではないかと思いました。
ハイジの連載はもちろん、新作も楽しみです。野中さん、ありがとうございました!


●作品紹介
失格人間ハイジ(連載中:毎週金曜日更新)
小説家の夢に破れ、バイト先に契約社員として就職した書店員・灰澤修治29歳。
恋愛や人生に様々なコンプレックスを抱えた彼が恋をした相手は、
自分より収入が高そうな女性だった・・・


●作家プロフィール
野中かをる(のなかかをる)
東京都生まれ。漫画家。
大学卒業後、和菓子屋の店長、書店員を経て、現在、comico作家として活躍中。
著書に『ためらい逢瀬』、『アネモネとさようなら 』、
『ツキカゲ骨董品店』(全てソニー・デジタルエンタテインメント)がある。
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枯れた三十路もネットならイケメン男子になれる!
Webコミックサービス「comico」で連載中の『ネト充のススメ』は、
理不尽な仕事に耐えきれなくなり退職した三十路のニート盛岡森子が、
オンラインゲームの中では、イケメン男子・林となり、もう一度トキメキを取り戻す? ラブコメディ。
辛辣な現実を逃げ、ネトゲの世界に安息を求める主人公をリアルにそして丁寧に描いた当作品は、
たくさんの読者の共感を呼び、高い支持を得ています。

本作の作者でイラストレーターとしてもご活躍されている黒曜燐さんに、
人気作品誕生の舞台裏や、イラストの仕事などについて伺いました。

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●『ネト充のススメ』は、最初の作品だった

―――『ネト充のススメ』は、オンラインゲームが舞台ですね。
ゲーム内での出来事をリアルに描いていますが、よくプレイされているのですか?

黒曜燐さん: 『ネト充のススメ』の世界と同じMMORPGが好きで、以前はよく遊んでいました。
私は、ゲームをひたすらやりこむというよりは、他のプレイヤーと交流をすることが好きだったので、
その経験やそのとき出会った個性豊かな方々を作品に反映させています。


―――完成度の高い作品と読者から高い評価を得ていますが、
いつ頃から漫画を描いていますか?

黒曜燐さん: 『ネト充のススメ』を描く前は、漫画は趣味で描いていました。
といっても、浮かんだことを少し描いては行き詰まるというのを繰り返していた程度で、
コンテストなどに応募したことすらありませんでした。
『ネト充のススメ』は、昨年の10月よりもう半年以上描いているのですが、
1つの作品をこんなに長く描き続けているのはこれが初めてです。
自分でもここまで続いていることに驚いています。


―――『ネト充のススメ』が、ほぼ最初の作品だったとは驚きました! 
では、comicoに参加したきっかけは何でしたか?

黒曜燐さん: 私は、もともとイラストレーターとして活動していたのですが、
comicoの運営の方からオーディションの案内をいただきチャレンジしました。
ちょうど同じ時期に他のサイトからもこういったお誘いはあったのですが、
他社のものは、みな、「あなたのお手元の漫画を掲載しませんか」だったんですね。
私、お手元に掲載できるような漫画がなくって(笑)。
ちょうどこの時期、イラストの仕事が入っていたのですが、
企画がなかなか進まなくてスケジュールが空いていました。
また、イラストのオーディションを受けたいと考えていた時期でもあり、
「その前にまず、comicoのオーディションを受けようかな」と軽い気持ちで参加を決め、
1日で描き上げたのが『ネト充のススメ』の第1話でした。
自分は、漫画家ではないから落ちたらすっぱり諦め、絵の練習に注力しようと思っていたのですが、
合格の連絡をいただき描かせていただけることになりました。
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 ▲comicoのオーディションに向け、最初に描いた主人公の森子(リアル)と林(ネトゲ)。
落ちたら、『ネト充のススメ』は、プライベートで描いてブログなどで公開しようと思っていたそう。


―――たまたまスケジュールが空いたところに、
タイミングよくオーディションの案内があったのですね。

黒曜燐さん: 本当に、すごい巡り合わせですよね。
私にとって漫画は、もちろん好きではありますが、時々単行本を買う程度で……
大好きな漫画家もいなければ、時間を忘れて夢中になった経験もほとんどありません。
だから、comicoがページ漫画のオーディションだったら、応募していませんでしたね。
WEB漫画という新しい分野だったから、私でも他の方と近いスタートラインに立てたのだと思っています。


―――イラストレーターとしては、どんなお仕事をされていたのですか?

黒曜燐さん: 本の挿絵やソーシャルゲームのカードイラストを描いたり、
アバターのデザインなどをさせていただいています。
最近では、『時代を切り開いた世界の10人 第5巻 マーガレット・サッチャー レジェンド・ストーリー
(学研教育出版)』の挿絵を描かせていただきました。

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 ▲ 黒曜燐さんが挿絵を担当している『時代を切り開いた世界の10人 第5巻 
マーガレット・サッチャー レジェンド・ストーリー(学研教育出版)』


―――イラストレーターのお仕事をされるようになったきっかけを教えてください。

黒曜燐さん: 小さい頃から絵は大好きでしたが好きなだけで、学校を卒業したあとは、就職をして、
イラストとはまったく関係しない仕事をしていました。
でも、やはり諦められなくて、退職してイラストレーターを目指しました。
この時点では、仕事のあては全くなかったのですが、
もう会社を辞めてしまっていたので、前に進むしかなくって。
幸運なことにイラストレーターとして活躍している知人が、取引先の会社の方に自分を紹介してくださって、
絵を見ていただき、そのまま仕事をいただくことができました。
自分の名前を載せてもらえる仕事ではありませんが、
絵を描いてお金をいただけるということは、当時の私にはすごく大きなことでした。

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▲『マーガレット・サッチャー レジェンド・ストーリー』では、黒曜燐さんの名前がクレジットされている。


●読者が楽しみに待っていてくれることがいちばんうれしい

―――現在、イラストレーターとWEB漫画家、2つの側面を持っていらっしゃいますが、
『ネト充のススメ』は、どのくらい時間をかけて描いているのですか?

黒曜燐さん: 平均すると1話に5日くらいかけています。
もちろん、毎日徹夜で描いているわけではありませんが、
それでも1週間の大半は『ネト充のススメ』に費やしています。
イラストレーターの仕事は、その合間に行なっています。
WEB漫画家としてもイラストレーターとしても、まだまだ経験不足で段取りが良くないところもあり、
体調を崩してしまうこともありました。


―――週刊連載は、体調管理が大切ですよね。
ところで、ストーリーは、どうやって考えているのですか?

黒曜燐さん: 結末はすでに決まっているのですが、そこにいくまでの各話は、その都度考えています。
といっても1話ずつではなく、何話かまとめて作っています。
3話先でこういう話を描きたいから、その前の1、2話では前提条件となることを
全部描いておくのようにですね。たとえば、突然、林とリリィが仲良くなっていたら不自然ですよね。
また、ギルドメンバーと親しくなっていないのに相談するシーンが登場したら違和感がありますよね。
そういうことがおきないよう、伏線を積み重ねていきます。

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▲『ネト充のススメ』主人公の森子


―――昨年の10月より連載がスタートして半年が経過しましたが、
comicoに参加して良かったことはありますか?

黒曜燐さん: 『ネト充のススメ』は、水曜日に新作がアップされますが、
読者のみなさんに「やっと水曜が来た」「いちばん楽しみ」と仰っていただけることが特にうれしいです。
水曜の0時を過ぎると、水曜連載の新作が順番にアップされていきますが、リロードを繰り返して、
『ネト充のススメ』が更新されるのを今か今かと待っていてくださる方がいらっしゃるんです。
また、Twitterにリプライで感想をいただけるだけでもうれしいのに、
作品の下にあるコメント欄にも同じ感想を書いてくださる方もいます。
そのほうが作家さんにとって良いからって。
こんなステキなみなさんに出会えて、comicoに参加して本当に良かったと思います。


―――反対につらいことを教えてください。

黒曜燐さん: 今、いちばん大変なのは、ネーム※ですね。
私は、他の作家さんとは違い、手書きでプロットを組んでおらず、すべてデジタルで行なっています。
だから、ネームは下絵も兼ねていて、ここで引いた線をもとにきれいな絵を描いています。
ネームを切りながらある程度描いたら読むを繰り返し、
そこで「つまらない」と感じたら全部捨てて描き直しています。
途中まで描いたものがつまらなかったら、その先が面白くなることはないですからね。
自分がダメだと判断したら、何度でも捨てて描き直しています。

※ネーム
漫画を描く前にコマ割や構図、キャラクター、セリフなどを配置したもの。

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▲23話の作品(左)とその下絵兼ネームの一部(クリックすると大きくなります)。


―――厳しいこだわりが、人気作品を生み出しているのですね。
セリフ1つ1つも魅力的ですね。
個人的には、22話の森子のセリフ「ネトゲの空気はうめーな」が好きです。

黒曜燐さん: 会社員だった頃、忙しすぎて自分の時間がまったく持てない日が続いていたときや、
ハードな1週間を乗り越えた金曜日の夜にログインしたときに思った
「今日のネトゲの空気は、心なしかうまい気がする」をそのままセリフにしました。
「シャバの空気はうまい」みたいな感じでしょうか(笑)。自分でも少し気に入っています。


―――口には出さないけど、みんなが思っていることをうまく言葉にされましたね。

黒曜燐さん: 悩み事があってゲームを楽しめなかった森子が、
すべて解決させて開放感に包まれていたとき
「これで森子も心置きなくゲームができるだろう」と思い、このセリフを言わせました。
森子が悩み始めてからこの回までの間、森子のキャラクターレベルは100のまま止まっているのですが、
気づいた方はいらっしゃいますでしょうか。もちろんこういったところは、ストーリーを追う上では、
見なくてもまったく影響はないのですが、細かいところまで注目していただけるとうれしいです。


―――そういったところにまで主人公の心理を反映させているのですね。

黒曜燐さん: そうなんです。他にもたくさんあって、たとえば、MMORPGでは、
ギルドメンバーの名前のあとによく一言コメントを書くスペースがありますが、
当作品では、各キャラクターたちの日常が垣間見えるコメントを載せています。
また、本編とは全く関係ないですが、12話で森子がコンビニで買ったレトルト食品や
カップ麺の名前も結構しっかりと考えているんですよ。
「たたいて増えるワカメ」「知り合いしちゅう(シチュー) どこかよそよそしい味」などなど。
自分なりにクスッときたものを描いたのですが、結果としてはあまり気づかれなくて少し寂しかったです。
どうでもいいネタなんですが(笑)。
スマートフォンで見るとそんなところまで描かなくても良いように思えますが、
パソコンで見るとかなり大きく表示されるので、細かい部分まで手が抜けないんですよ。
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▲森子は、ネトゲ内ではイケメン林に変身!


●人生に無駄な経験はない

―――以前は、よくオンラインゲームをプレイしていたとのことですが、
最近はどうですか?

黒曜燐さん: 最近は、忙しくてほとんど遊べていないですね。
もう少し前倒しで漫画を描けるようになったら、またプレイしたいです。
作品のネタ探しはもちろんですが、純粋に昔のようにネットゲームを楽しみたいですね。
最近は、自分がプレイできないから、遊んでいる友だちに状況を聞いて、漫画を描く参考にしています。


―――オンラインゲームをプレイしていて良かったことはありましたか?

黒曜燐さん: もちろんです。その日にあった嫌な経験を少し愚痴るだけでも共感してくれたり、
友だちが頑張っている話を聞いて「自分も頑張ろう」と元気をもらったり……
作中では、森子がギルドメンバーに勇気をもらい桜井のメールに返信することを決意しますが、
私もオンラインで出会ったたくさんの仲間に励まされてきました。


―――では、反対に嫌な経験をしたことはありますか?

黒曜燐さん: ありますよ。私に限らず、ネット上で嫌な経験をされたという方は少なくないかと思います。
でも、そこで「ネトゲってこんなもんなんだ」と思ってほしくないんです。
最近では、『ネト充のススメ』を読んで「オンラインゲームを始めました」
と言って下さる方もいて、すごくうれしいです。
でも、その一方で、世の中にはいろんな人がいるということを知ってほしいんですね。
今、作品に登場するキャラクターは、仲間思いの良い人ばかりなので大きな揉め事は起きないのですが、
これからは、口の悪い人やモラルのない人なども描いていく予定です。
私も、できることならオンラインゲームの楽しいところだけを描いていきたいのですが、
「こういうことをすると嫌な気持ちになる人がいるよ」ということを見てもらうことや、
「こういう経験をするかもしれないよ」ということを事前に知ってもらうことは、
必要なことではないかと思っています。


―――知っていれば心構えができますね。
最後に作品をとおして伝えたいことを教えてください。

黒曜燐さん: インターネット上では、簡単に人との関係はきれてしまいます。
嫌なことがあったら、すぐシャットダウンすればいいですからね。
でも、嫌なことはあっても、それ以上にそこには、良いこともあったのではないでしょうか。
だから、私は、結果としてどの出来事にも無駄なことはなかったと思ってほしいです。
三十路でニートの森子は、相当人生に躓いていますが、私は森子の選択を悪いとは思っていないんです。
森子には必要な時間だから。
森子は会社を辞めるとき、三十路で無職になることがどういうことかを考えていて、
それでも辞めるくらいつらいことがあったなら、次に社会復帰するにはお休みが必要ですよね。
今はまだ休んでいてゲームの世界にのめりこんでいますが、これから少しずつ前を向き歩き始めていきます。
もちろんそこには、励ましてくれ、助けてくれる仲間はいますが、
それでも最後は自分でなんとかするしかないんですよね。
森子からそういったところを感じていただき、「自分も頑張ろう」と思っていただけたらうれしいですね。


【 インタビューを終えて 】
「取材は今回が初めてなんです。うまく答えられなかったらすみません」とお話されていた黒曜燐さん。
しかし、いざインタビューが始まると、初めてとは思えないくらい作品への思いを熱く語ってくださって、
その姿からいつも作品と真摯に向き合っていること、そして何より作品を愛している様子が伝わってきました。「今後はどんなことに力をいれていきたいか」には、「漫画」や「イラスト」ではなく、
「人に喜んでもらえることを行なっていきたい」と回答された黒曜燐さん。
喜んでもらえることは、時とともに変わっていくかもしれませんが、
今、たくさんの方が楽しみにしているのは『ネト充のススメ』ですね。
これからも、新作期待しています。でも、くれぐれもお身体は大事にしてくださいね。
黒曜燐さん、ありがとうございました!


●作品紹介
ネト充のススメ(連載中:毎週水曜日更新)

枯れた三十路女もネットならイケメン男子になれる!
ネト充になるべく新しい冒険世界へ!

●作家プロフィール
黒曜燐(こくようりん)

静岡県生まれ。イラストレーター。
『時代を切り開いた世界の10人 第5巻 マーガレット・サッチャー
レジェンド・ストーリー』(学研教育出版)の挿絵を担当。
会社員時代は、ネト充ライフを満喫していたが、
最近はすっかりネト充から遠ざかっている。
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フランス在住のフランス人漫画家、Dreamyさんが
Webコミックサービス「comico」で連載するのは『FIFIのレシピ』
日本に住むフランス生まれのFIFIが、様々な国の料理を
日本の食材で再現することに挑戦するレシピ漫画です。
作中に登場するおいしそうな料理はもちろん、親友ナオコとの友情、FIFIとナオコ
それぞれの恋の行方も気になっている方も多いのではないでしょうか。

日本が大好きで、かつては日本に1年間滞在した経験もあるDreamyさんに
作品への思いや作品誕生の背景、日本を好きになったきっかけなどについて伺いました。

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●日本のみなさんに世界のおいしい料理をもっと知ってほしい

―――『FIFIのレシピ』に登場するレシピは、どれもおいしそうですね。
どうやって考えているのですか?

Dreamyさん: 『FIFIのレシピ』では、世界の伝統的な料理を日本のみなさんにご紹介しています。
まず、伝統料理のなかからとりあげる料理を決めて、それを実際にいくつか作ってみます。
そのなかでもっとも気に入ったものにさらに自分流のアレンジを加え、レシピを完成させていきます。
母が料理上手なので、母から教わったレシピをそのまま登場させることもあります。


―――日本では、あまりなじみのない料理もご紹介していますね。
世界の料理をテーマとしたのは、なぜですか?

Dreamyさん: 世界には、様々な伝統的な料理があり、簡単に作れるものもたくさんあります。
でも、日本ではなじみがないというのは、知らないからだけなんですよね。
『FIFIのレシピ』では、日本のみなさんに世界には、
たくさんのおいしい料理があることを知っていただきたくて、ご紹介しています。
もちろん世界中の食材を日本ですべて集めることは難しいので、
私のレシピでは、本国で使われている食材が日本では手に入りにくいもののときは、
代用できる食材も一緒に掲載しています。お好きなほうを選んで作ってくださいね。

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▲北アフリカの伝統料理「タジン」は、肉、魚、野菜、果物を1度に蒸したシチューのような料理。


―――主人公の「FIFI」は、Dreamyさんご自身ですか?

Dreamyさん: 「FIFI」 = 「Dreamy」ではありませんが、
『FIFIのレシピ』には、私の思いと経験が詰まっています。
「FIFI」という名前は私の本名の一部であり、私も「FIFI」と同様にベジタリアンです。
また、最初のエピソードで、「FIFI」が8歳のとき、初めて作った料理がオムレツだったこと、
さらに日本に来て初めてオムレツを作ったことを描いていますが、これも実話です。

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 ▲初めて挑戦した料理はオムレツ。


―――日本で初めて作った料理がオムレツだったとのことですが、
日本にはよく来られるのですか?

Dreamyさん: 親友がワーキングホリデーで日本に滞在していたとき、
何度か遊びに来て日本が大好きになりました。
また、親友に日本での生活を聞き、同じことを経験したいと思い、
その後、私もワーキングホリデー査証を取得して1年間滞在しました。


●子どもの頃から日本のアニメに親しむ

―――日本のどんなところが好きですか?

Dreamyさん: 私が小さい頃、フランスでは『ドラゴンボール』や『セーラームーン』を初めとした
日本のアニメがたくさん放送されていて毎週楽しみにしていました。
なかでも、『セーラームーン』が大好きで、全話録画してよく絵を真似て描いていました。
子どもの頃から日本のポップカルチャーが大好きでしたが、日本に住むようになってからは、
和食や寺社、花見、祭りなどの日本文化にも触れ、ますます日本が好きになりました。
京都にも3度行き、祇園~清水寺、嵐山など、観光客たくさん訪れる寺院は、ほとんど行っています。


―――フランスで日本のアニメを見て育ち、『セーラームーン』の絵を
描いていたことが、漫画家としての原点なのですね。

Dreamyさん: 子どもの頃から絵を描くことが本当に好きで……
高校卒業後には、美術大学のアニメーション学科に進学しました。
卒業制作では、オリジナルの短いアニメを作りましたが、
最初にストーリーを考え、構成を作り、絵を描き、色を塗り……
アニメの現場では、分業していることをすべて1人で行なわなくてはならなかったので、とても大変でした。
もちろんその分、自分の描いた絵が動いたときの喜びは、ひとしおでしたよ。


―――現在は、漫画家としてご活躍されていますが、
もともとはアニメーターを目指していたのですか?

Dreamyさん: 小さい頃から絵を描くことが好きだったとお話しましたが、
アニメーションを学んだことも、私にとっては絵を描くことの延長でした。
アニメも大好きなのですが、描いた絵が動くまでのプロセスが長く、性格的に待ちきれなくて(笑)……
私には、描いたらすぐ見てもらえて、さらに読者のみなさんからの声がすぐに届くWEB漫画があっていますね。

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▲Dreamyさん


―――漫画家としての活動は、大学を卒業してから始められたのですか?

Dreamyさん: いいえ、すぐに漫画家として活動することはすごく難しくて……
卒業後は、ゲーム会社やアニメ制作会社でグラフィックデザインを担当していました。
その一方で、プライベートでは、自分のブログでレシピ漫画を描いていました。
うれしいことにたくさんの読者のみなさんに書籍化してほしいという
ご要望をいただき、手応えを感じていました。
漫画家としての本格的なスタートは、2012年に出版したレシピ漫画『ナタリーのレシピ』からです。
『ナタリーのレシピ』は、『FIFIのレシピ』とは違い、フランスの料理人である
ナタリーが作ったレシピの絵を私が描いています。
ナタリーは、テレビ番組などにも出演するフランスでは有名なシェフですが、私の10年来の友人でもあります。


―――その翌年より、comicoの作家としてWEB漫画の連載をスタートされたのですね。
それでは最後になりますが、Dreamyさんの夢を教えてください。

Dreamyさん: 絵を描いて生活できている今が最高に幸せです。
このまま続けていけたら、もう何もいうことはありません。
もちろん、これからも読者のみなさんに楽しんでいただけるよう
『FIFIのレシピ』には、全力で取り組んでいきます。
日本のみなさん、今後とも『FIFIのレシピ』をよろしくお願いいたします。
また、作品に登場する料理は、どれも簡単でおいしいものばかりですので、
みなさんぜひ作ってみてくださいね。


【 インタビューを終えて 】

絵と料理と日本が大好きで、
どの質問にもにっこりと微笑んで楽しそうに回答されるDreamyさん。
明るく元気な「FIFI」の印象と重なります。
「FIFI」は、世界中を旅していますが、
Dreamyさんは、まだ訪れたことがある国はそれほど多くはないそう。
「いつか私も世界を旅できたら」と笑顔で語ってくださいました。
Dreamyさん、ありがとうございました! 
これからも、私たちに世界のおいしい料理を紹介してくださいね。


●作品紹介

FIFIのレシピ(連載中:毎週木曜日更新)
FIFIはフランス生まれのベジタリアン。
彼女は新しいレシピを求めて世界中を旅しています。
日本にやってきた彼女は、いろんな国の料理を日本の食材で再現することに挑戦しています。
世界中の料理を一緒に作ってみましょう!

●作家プロフィール
Dreamy(ドリーミィー)

フランス生まれ。漫画家。
フランス人の父、中国人の母のもとフランスで育つ。
フランス語、中国語、英語の3ヶ国語が話せ、現在日本語を勉強中。
ベジタリアン。日本の料理では、麺類と酢飯が好き。
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