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「BL(ボーイズラブ)に興味はあるけど、どの作品から読んだら良いかわからない」。
そんなあなたにおススメなのは、Webコミックサービス「comico」で連載中の
『咲くは江戸にもその素質(以下、咲く江戸)』。

舞台は江戸時代。「その素質」に目覚めた主人公の少女「サク」の日常を
明るく元気に、そして情熱的に描いた当作品。
江戸時代に男性同士の恋愛に萌えるというユニークな設定、独特の世界観、
美しい色彩が読者から高い支持を得ています。

本作の作者である沙嶋カタナさんに作品の魅力や人気作品誕生の舞台裏について伺いました。

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●「その素質」は、誰にでもあるものかもしれない

―――『咲く江戸』が読者から高い評価を得ていますが、
これまでにも連載をもたれていたのですか?

沙嶋さん: 『咲く江戸』が初めての連載です。漫画家になりたくて、
これまでに何度か雑誌のコンテストに投稿したことはあります。
入賞して担当さんがついたこともありましたが、
行き詰まってしまい連載をもつところまではいきませんでした。
ページ漫画以外の新しいことに挑戦しようかと悩んでいたとき、
ちょうどcomicoで作家を募集していることを知り、応募しました。


―――初めての連載とは驚きました。本作は、BLをテーマとしていますが、
これまでもBL作品を描いていらっしゃったのですか?

沙嶋さん: BL作品は、読むのは好きですが、描いたことはそれほどありません。
雑誌に投稿していたころは、少女漫画や人情をテーマに青年誌向けの漫画を描いていました。
今回、comicoで『咲く江戸』を描いたのは、候補となる作品がいくつかあったのですが、
連載向きの作品がこれだったからです。
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▲左から主人公のサクと友達のカメ、フミ。


―――では、『咲く江戸』を描こうと思われたきっかけは何でしたか?

沙嶋さん: 普段、BLにまったく興味がない友達が、男性同士の恋愛を描いた
ドラマなどを見ていたときに「良い反応をするな」と思うことがありました。
また、私の母も、その手の映画を見て「よくわからないけどゾクッとした」と話していたことがあります。
本人達には言えませんでしたが、「それって萌えの感情じゃないの?」と思い、
「こういう感情は、特別なものではなく誰もがもっているものなんだ。
それならば、萌えを感じる人はどの時代にも実はいたのではないか」と気づいたことが、
作品誕生のきっかけとなりました。


―――作品では、男性同士で付き合うことを「衆道のケ」と呼んでいますが、
江戸時代には、実際にあったことなのでしょうか?

沙嶋さん: はい。今のBLとは形は違いますが、
江戸時代にも男性同士の恋愛は文化の1つとしてありました。


―――主人公のサクらは、『南総里見八犬伝』に萌えますが、
なぜこの作品を選んだのですか?

沙嶋さん: 『咲く江戸』を描こうと思ったとき、
まず、少女たちがどんな作品で目覚めるのかを考えたところ、
やはりこの年頃の子たちでしたら美少年からはいるのではないかと思いました。
さらに、江戸時代には、どんな本が読まれていたかを調べると、
『南総里見八犬伝』がとてもファンが多い作品だったということがわかり、
また、様々なタイプの男性が登場しており、「これだ!」と思いました。

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▲『南総里見八犬伝』の信乃と荘助に萌えるサク。


―――江戸時代も読書はさかんだったのですか?

沙嶋さん: 貸本屋が多く、安く借りられたので、庶民でもたくさん本を読んでいたみたいですね。
江戸時代は、庶民文化がさかんで混沌としており、今の多種多様なアニメや漫画が
受け入れられていることにも通じるのではないかと思っています。


―――作品を描くために時代背景などもたくさん調べていらっしゃいますね。

沙嶋さん: はい。もう調べる時間が全然足りなくて……「今回はこのネタを描こう」と決めても、
それが江戸時代に可能だったのかを調べていると、その頃には締め切りが迫ってきていて、
間に合わず別の話に差し替えたこともあります。

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▲沙嶋カタナさん


―――『咲くは江戸にもその素質』というタイトルは、
色気を感じさせながらも品のある素敵なタイトルですね。
どうやって考えたのですか?

沙嶋さん: ありがとうございます。
先ほど、本人は気づいていないけど男性同士の恋愛を描いた作品を見て、
良い反応をする友達がいるという話をしましたが、そういう子を「素質あるな」と思っていました。
だから、タイトルには「素質」という言葉を入れようと決めていました。
「咲く」は主人公の「サク」にかけています。


―――今後の『咲く江戸』は、どうなっていきますか?

沙嶋さん: サクが、周りの人たちを染めていき、どんどん悪化していくと思います(笑)。
また、12話から新キャラが登場しましたが、他にも新キャラを出せないか検討しています。 
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▲手書きのネーム


●半年前までは誰も私の作品を知らなかった

―――連載開始からもうすぐ4ヶ月が経ちますが、
comicoに参加して良かったことはありますか?

沙嶋さん: 週刊連載なので体力的にはきついときもありますが、毎日が充実していてとても楽しいです。
自分が描きたい作品を描かせていただいていることもありますが、
それ以上に読者のみなさんが『咲く江戸』を読んでくださって、感想をいただけることがうれしいんです。
半年前までは、誰も私の作品を知らなかったのに、
今はたくさんの人に読んでいただける環境に感謝しています。


―――これまでは、ページ漫画を描かれていましたが、
WEB漫画ゆえに大変なことはありますか?

沙嶋さん: カラーというところですね。漫画を描き始めたきっかけの1つは、もともと色塗りが苦手で、
それなら白黒を突き詰めようと思ったからなんです。
しかしながら、反対にカラーに助けられていることもたくさんあります。
だから、苦手なんていわずに存分に頑張ろうと思っています。
オーディションのときは、白黒で描いてからその上にベタ塗りで色を塗った程度だったのですが、
それをスマートフォンで見たら全然映えなくて……
スマートフォンには、スマートフォンの見せ方があるということを知り、
すべて塗り直したのも今では良い思い出です。

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▲目を光らせる表現は、カラーだからできたこと。


―――漫画家は、小さい頃から目指していたのですか?

沙嶋さん: 小学生の頃は漫画家になりたかったのですが、
中学生のときにゲームに触れてゲームの世界も良いなと思い、そのままゲーム業界に就職しました。
それでもやはり、漫画家になるという夢も諦めきれず、会社を辞めて漫画を描き、
雑誌のコンテストに作品の投稿を続けました。


―――今、WEB漫画家としてご活躍されていますが、
他にはどんなことをされていますか?

沙嶋さん: 以前働いていたゲーム会社から、デザインの仕事をいただいています。
少し前までは、知人のお店でアルバイトもしていましたが、今は、comicoとデザインの仕事のみです。


―――今後は、どんなことに力を入れていきたいですか?

沙嶋さん: 今はまず、『咲く江戸』がたくさんのみなさんに楽しんでいただける作品となるよう、
努力し続けていきたいです。
また、今後もずっと漫画を描き続けていきたいですが、
もっと画力を上げて、ゆくゆくは挿絵の仕事にもチャレンジしたいと思っています。


―――ありがとうございました。最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

沙嶋さん: 誰でも、良いことも嫌なこともいろいろありますが、
作品を読んでいるときは、その世界に入り込んで日常を忘れて笑っていただけたらうれしいです。
また、(BLの)腕に覚えのある方は、「ある、ある」と共感していただき、
興味がないという方は、覗き見気分で楽しんでいただけたらと思っています。
今は、まったく興味がないという方も、もしかしたらサクの友達のカメのように、
ある日突然、目覚める日が来るかもしれませんよ。
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▲咲くは江戸にもその素質


【 インタビューを終えて 】
上品で優しい雰囲気をもつ沙嶋さん。『咲く江戸』で初めてBL作品に触れた私に、
BLの魅力を「男性同士という障害があって、それなのに好きを貫くという姿勢に夢を見られる。
女性には未知の世界だから、いろいろな想像が膨らむんですよ」と教えてくださいました。
インタビューが終わり、写真撮影をお願いすると沙嶋さんは、
「江戸時代の漫画なので」と鞄からそっとおかめさんのお面をとりだしました。
これまでの女性らしい印象とは違いすぎて驚きましたが、
関西人らしく「このほうが面白いので」と、お面をつけたまま主人公「サク」の絵を描いてくださいました。
そして、「これから両国の江戸東京博物館に行って、作品の資料になるものを探してきます」
と颯爽と会場をあとにされました。

BL作品は、以前の私のように「興味がない」「苦手」という方も多いかもしれませんが、
『咲く江戸』は、そういう方にも楽しんでいただける作品だと思います。
私は、まだ目覚めてはいませんが、もしかしたらその素質はあるかもしれませんよね。
この作品に出会う前は、そんな日は絶対に来ないと思っていましたが、
今では少し楽しみになっているから不思議です。


●作品紹介
咲くは江戸にもその素質(連載中:毎週水曜日更新)

江戸時代にも、「その素質」を持つ女の子はきっといた筈…。
 
●作家プロフィール
沙嶋カタナ(さじまかたな)

兵庫県生まれ。漫画家。
ゲーム業界でグラフィックデザイナーとして活躍後、comico作家となる。
趣味は旅行。1~2泊で温泉や星を見に行くなど、広い兵庫県内を探索するのが好き。
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Webコミックサービス「comico」では、3月15日(土)に
comicoの作家さんをお招きして『第2回comico作家決起集会』を実施しました。

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会場は、渋谷ヒカリエ27階にあるNHN PlayArtの社内カフェ。
気軽に交流を深めていただけるよう、ささやかではありますが、
お食事とお飲み物でおもてなしをさせていただきました。

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当日は、全国から約60名の作家さんにお集まりいただきました。
みなさん、遠いところをお越しいただき、ありがとうございました。
いちばん遠い方は、なんと! フランスから来てくださいました。

イベントは、定刻どおり15時にスタート。

当社代表取締役社長 稲積憲の挨拶のあとは、comicoが誕生した背景を改めてご紹介し、
2月初めには、サービス開始から100日目で100万ダウンロードを突破したことをはじめ、
順調に成長を遂げていることを発表しました。
さらに、2014年も作家さんと一緒にcomicoを盛り上げていくことを約束しました。

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乾杯のあとは、歓談タイム!
みなさんグラスを片手に和気あいあいとした雰囲気の中、交流を楽しまれていました。
comicoの作家さんは、漫画家として数10年のご経験のある方、
本業を別にお持ちの方、主婦や学生の方など年齢も職業も様々。
決起集会は2回目といっても、まだまだ今日が初対面という方も多かったようですが、
そこは同じ志しを持つ同士! みなさんすぐに打ち解けられていました。

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ここで、本日のスペシャルゲスト、韓国No.1のWebtoon(WEB漫画)作家 カン・プルさんが登場! 
Webtoonの表現技法や韓国のWebtoon事情についてお話していただきました。

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先ほどの賑やかな雰囲気とは打って変わり、
カン・プルさんの講義を聞く作家さんの表情は、真剣そのもの。
Webtoonの歴史や特徴、長所と短所、今後の方向性などに加え、
表現技法を1つずつ例をあげて丁寧に解説してくださいました。
約1時間の講義は、作家さんにとって実りあるものだったようで、
その後の質疑応答では、作家さんから活発な質問が寄せられました。

10年間も作品を描き続けていたら、モチベーションが下がってしまうときもあるかと思いますが、
カン・プルさんは、「作品を描くのが好きだから、描く意欲をなくしたことは1度もない」ときっぱり。
たとえそのような経験をすることがあったとしても、
「仕事だからやるしかない」と言い切る姿がとても印象に残っています。
カン・プルさん、本当にありがとうございました!
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このあとは、引き続き歓談タイムです。
今回は、会場の一角に寄せ書きコーナーをご用意。
作家さんには、合間にこちらに絵を描いていただきました。

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その完成版がこちら! 
照明の関係で一部見づらくなってしまいましたが、
comicoでおなじみのキャラクターたちが大集合しています。
贅沢です!

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贅沢といえば、こっちも!
第1回目の決起集会で作家さんに描いていただいた絵(初参加の方は、当日描いていただきました)と
読者プレゼントのマグカップ(キャンペーンは終了)の一部です。
スペースの関係ですべてを掲載できないことが残念です…

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そして、開始から約3時間後、イベントはアットホームな雰囲気のまま終了しました。
参加された作家のみなさん、本当にありがとうございました!

comicoでは、昨年10月にサービスを開始して以来、
現在では70作品の公式作品をお楽しみいただくことができます。
ギャグ、ファンタジー、恋愛、コメディ、ホラー、エッセイ、ルポなどジャンルも様々! 

読めばきっとお気に入りが見つかる! 毎日新作漫画が読み放題のcomicoをぜひチェックしてくださいね。

●毎日新作スマートコミック「comico」
http://www.comico.jp/

Webコミックサービス「comico」で連載中の『しみことトモヱ』が、好きです。

9年間「しみこ」という猫を飼っている作者の家に
「トモヱ」という新入り猫がやってくるも、けんかが絶えない2匹。
飼い主がなんとか仲良くさせようと日々奮闘する様子が楽しく描かれています!
猫の愛らしさに癒され、多頭飼いの苦労を垣間見ることもできとても興味深いです。
飼い主のコミカルな動きも好きです。ぜひ読んでみてください!


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お気に入りの作品は、お友達にも薦めたいですよね。
PC版comicoでは、このように自分のブログなどで気軽に作品を読んでもらうことができる
ブログパーツ「埋め込みタグ機能」を追加しました。

作品をブログなどで紹介すれば、お友達にも気軽に触れていただくことができますよ。

使い方は、簡単! 
各作品の最後、作家さんコメントの上に『ブログに埋め込むボタン』があります。
このボタンをクリックすると埋め込みコードがコピーされます。
あとは、これを自分のブログなどに貼り付けるだけ!

どんなところがおススメなのか、また、作品を読んであなたが感じたことも一緒に書けば、
お友達もきっと好きになってくれると思いますよ! ぜひ使ってみてくださいね。


◆【新機能リリース】PC版comicoに「ブログパーツ」追加!
http://www.comico.jp/notice/detail.nhn?no=188&cate=NEWS

「行ってみたいけど自分が行くのは少し怖い」。
「行きたいとまでは思わないけど、覗いてみたい世界がある」。

そんなあなたにオススメなのは、Webコミックサービス「comico」で連載中の『のぞいて見ルンバ』! 
作者のうっかりかこさんが、ゲイバー、路上占い師、前世リーディング、ゲテモノ…など、
興味はあるけどちょっぴり怖い大人の? 世界に体当たりで挑む突撃ルポ漫画です。

いつもは、突撃する側のうっかりかこさんを今回は私たちが突撃!
『のぞいて見ルンバ』の舞台裏をのぞいて見ルンバしました。

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●3度目の正直でオーディションに合格

―――知らない世界が覗けると好評な『のぞいて見ルンバ』。
まず、作品誕生のきっかけを教えてください。

りかこさん: 一歩踏み出す経験を漫画にしたら面白いのではないかと思ったことです。
具体的には、ゲイバーへ行ったことがきっかけでした。
ずっと行きたかったのですが、怖いイメージがあり躊躇していました。
しかし、実際行ってみると想像以上に楽しく、また一歩踏み出せた快感のようなものもありました。
そんな時に卒業した専門学校からcomicoのオーディションの話を聞いて
「チャンスだ!」と思い描いてみました。


―――comicoのオーディションをきっかけに
『のぞいて見ルンバ』を描こうと思ったのですね。

りかこさん: そうなんですよ!とはいっても、実のところオーディションは2度落ちているんですよ。
ただ題材には自信があったので、2度目に落ちた時にcomicoの運営さんに
「良かったらダメだったところを教えて下さい」と聞き、なんともう一度チャンスをいただけることになり、
3度目でなんとか合格をいただきました。


―――まさに3度目の正直! 諦めないって大切ですね。
ところで、これまでに漫画の連載をもたれていたことはありますか?

りかこさん: 連載はcomicoが初めてです。文芸書のコミカライズで漫画作画をさせてもらったり、
月刊誌に持ち込みをして小さな賞をいただいたくらいです。


―――これまでは、どんな漫画を描いていたのですか?

りかこさん: 今のようなルポ漫画ではなく、ストーリー漫画です。
私は天邪鬼なので、人が描かないことを描きたいんですよ。
だから、これまでに発表した作品も、砲丸を投げている女の子の話とか(笑)。
『のぞいて見ルンバ』でも、みんながあまり行かないところをレポートしているように、
そういうところは昔から一貫していますね。

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▲うっかりかこさん作の砲丸投げが舞台の漫画『砲丸少女』。
(クリックすると大きくなります。)


●ゴキブリは海老の味?! 『のぞいて見ルンバ』をのぞいて見ルンバ

―――『のぞいて見ルンバ』では、ゲイバーの様子が4話に渡って掲載されています。
作品からは、楽しまれている様子が伝わってきましたが、
実際のところはいかがでしたか?

りかこさん: 楽しかったのですが、バーの扉を開けるまでは、かなりビビっていました。
ゲイの友達も一緒だったのですが、彼は2丁目初心者だったので、自分でかなりリサーチしました。
もう、ネットを開くと常にページの横にゲイ関連の広告が出てくるくらいです(笑) 。
おかげで、ルールや店選びなどの導入部分に関しては、知識がつきました。
とは言っても、そこは新宿2丁目。
私には相容れないディープでディープな世界が広がっていると思っています。
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▲ゲイバーの回のひとコマ

―――ゲテモノの回も印象に残っています。
最初は、仲間とワニやラクダなどを楽しく食べていたのが、
どんどんレベルアップし、最後は一緒に来てくれる友達もいなくなり、
お1人で参加した「東京虫食いフェスティバル」は衝撃でした。

りかこさん: 私もこの時ゴキブリの佃煮を食べたのは、衝撃でしたよ。
おかげで最近「ゴキブリカコ」と呼ばれています(笑) 。
誤解させてしまっているかもしれないですが、みなさんのご家庭にそろそろと現れる彼ではなく、
ペットのえさ用として、飼育されている南方系のマダガスカルゴキブリなのでご安心ください。
まぁゴキブリを食べたことには変わりはないのですが……


―――食用のゴキブリでも、口にいれるのは勇気がいったのではないかと思います。
ゴキブリ以外にも、サンショウウオ、ハチノコ、イナゴなど、
様々なものを食されましたが、いちばんおいしかったのは、どれでしたか?

りかこさん: ゴキブリですね。皮が堅くて噛み切れないのを除けば。
味は、海老に似ていて、意外とおいしかったです……肉汁とか。

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▲ゴキブリを食す場面のネーム※(左)と完成した作品(右)。
(クリックすると大きくなります。)

※ネーム
漫画を描く前にコマ割や構図、キャラクター、セリフなどを配置したもの。

―――おいしいといわれても、「今度食べてみますね」とは、なかなか言えませんね……

りかこさん: そうですよね。私もまだまだです。虫食は自分で用意するのが少し難しいですしね。
「東京虫食いフェスティバル」には、虫や虫食に関するプロフェッショナルの方々が集まり、
皆さん虫のおいしさについてあまりにうっとり語られるので、
「あれ?虫っておいしいのかな?」と興味を芽生えさせられました。


―――りかこさんのように経験として食べてみようではなく、
日頃から当たり前のように食べている方もいることには、驚きました! 
ところで、毎回のテーマはどうやって決めているのですか?

りかこさん: 基本的には、私が興味を持った場所に行っています。
ただし、読者の方がついて来られなくなってしまうくらいディープなところは避けるようにしています。
また、comicoの編集担当の方から、提案いただくこともあります。
最近は、サバイバルゲームを薦めていただきました。
スケジュールが合わなくてまだ行けていませんが、面白そうなのでレポートしてみたいですね。

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▲うっかりかこさん。
「うっかりかこジャケットなんですよ」と、作品でも着用されている格好で来てくれました。


―――サバイバルゲーム以外にレポートしたいことはありますか?

りかこさん: 数えきれないくらいあります。
最低でも3年くらいは連載できるのではないかと思います。
例えば、第1話が大学の時にインドネシアへ行った時の話ですが、
まだまだ描ききれなかったネタがたくさんあるので、そのうち過去編として描きたいですね。
1週間船に乗って、インドネシアの島々を巡り、現地の学生と研究を行いました。
と言うと、真面目に聞こえますが、面白いハプニングが続出でした。
まず、引率の先生がワイルドすぎるんですよ。
先生の威厳に関わるので、多くは語れませんが(笑)。


―――個性的な先生の話っておもしろいですよね。
ところで、『のぞいて見ルンバ』というタイトルは、どんな漫画なのかが
すぐわかる上に、1度見たら忘れられなくて個人的にもとても気に入っています。
どうやって考えたのでしょうか?

りかこさん: ありがとうございます。
実はタイトルが全然思い浮かばなくて、土壇場で学校の先生に泣きついて一緒に考えてもらい、
ぎりぎりまで粘って「えいっ!」と出したのが『のぞいて見ルンバ』です。


―――切羽詰っていたからこそ良いアイデアが生まれたのですね。
りかこさん、今日はありがとうございました。
最後になりますが、今後力を入れていきたいことを教えてください。

りかこさん: まずは『のぞいて見ルンバ』に全力投球したいです。
もともとなりたかった少女漫画家の夢もあきらめてはいないですが、
今は、comicoで読者のみなさんに楽しんでいただけるようなルポが描けるよう精進したいです。
10年後も20年後もずっと漫画を描き続けていられたら幸せですね。

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▲のぞいて見ルンバ


【 インタビューを終えて 】

自分が行けない場所を覗いてみたくて読み始めた『のぞいて見ルンバ』。
作品から伝わってくる、りかこさんの好奇心旺盛なところと、どんな場所でも楽しもうとする姿勢が好きで、
いつのまにか「りかこさんならこの場所をどう感じ、どんなふうにレポートしてくださるのか」に
興味をもつようになっていきました。
今回、実際にお会いして、作品の舞台裏はもちろん、オーディションに3度も挑戦した努力家な一面、
作品誕生の意外なきっかけなどを知り、ルポを読むのがますます楽しみになりました。
りかこさん、今後もよろしくお願いします! 
でも、危険な目には合わないよう十分注意してくださいね。


●作品紹介
のぞいて見ルンバ(連載中:毎週水曜日更新)

行ってみたいけどなかなか行けない場所へ突撃するルポ漫画
http://www.comico.jp/articleList.nhn?titleNo=51&vm=top_tls
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●作家プロフィール
うっかりかこ

愛媛県生まれ。漫画家。
趣味は漫画を読むこと。
アウトドア派で、絵を描くよりネタ作りや話作りが好き。
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Webコミックサービス「comico」で連載中の読むとストライクがとれる!?
本格ボウリングファンタジー『ジャストポケット!』
作品を手がけるのは、覆面漫画家のすねやかずみさんです。

漫画家として20年以上のご経験があり、専門学校の講師として後進の育成や、
漫画家の活動をバックアップするなど、たくさんの顔を持つすねやさん。
前編では、WEB漫画にチャレンジしようと思った理由やWEB漫画の特徴、
作品への思いなどをお届けしました。

後編では、漫画家以外の活動や漫画の原点、そして覆面の謎などについてもお聞きしました。

→前編はこちらから
「漫画を通してマイナーだけど魅力あるものに光を当てたい」 
― comico作家さんインタビュー すねやかずみさん 前編―
http://renewalblog.hangame.co.jp/archives/37304992.html

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●紙芝居の歴史を継承したい

―――漫画家と専門学校の講師以外には、今、どんなことをされていますか?

すねやさん: 私が取締役を務める株式会社漫画家学会で様々な活動に携わっています。
漫画家学会は、漫画家の活動をバックアップすることを目的とした会社で、
現在は教育機関や商業施設をまわっておもに紙芝居をしたり、
トキワ荘跡地にあるNPO法人 日本漫画・アニメトキワ荘フォーラムと一緒に
漫画やアニメを世界に発信していく活動を行なっています。

今、紙芝居をしているというと「なぜ」と思われる方もいるかもしれませんが、
それは漫画の原点が紙芝居だからなんです。
もともと絵巻物や北斎漫画があり、絵巻物が紙芝居に変化し、
紙芝居が劇画に発展してページ漫画になっていきました。
あの水木しげる先生も紙芝居を描いていました。
だから、紙芝居を行なうことは漫画の原点に帰ることでもあるんですよ。


―――漫画の原点は、紙芝居なんですか! それは、まったく知らなかったです。

すねやさん: そうなんです。だから、漫画家学会を立ち上げるにあたっては、
京都国際マンガミュージアムで紙芝居を毎日口演されていた
紙芝居師の「やっさん」という方にも顧問に入っていただきました。
京都には、私が過去に非常勤講師で務めていたマンガ学部のある京都精華大学もあります。
京都は外国人がたくさん来る観光地なので、漫画のコンテンツがあると外国人の滞在スポットにも
なりやすいという理由で漫画に力をいれている側面もあるようです。
また、紙芝居は昔は免許制で免許がないとできなかったのですが、
関西はその免許が最後まで(昭和57年)残っていた地域でもあります。

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 ▲すねやさんが講師を務める総合学園ヒューマンアカデミー東京校の一室


―――ということは、日本における紙芝居発祥の地は関西なんですか?

すねやさん: いいえ、違います。
発祥の地は、私たち漫画家学会が紙芝居道場をおく荒川区東尾久と言われています。
これはまったくの偶然なのですが、たまたま安い事務所物件を探していたらここだったんですよ。
「これは呼ばれたな」と思いましたね。
昭和初期の荒川区は、もの作りの場所で紙芝居制作工場も多数あり、ここに絵を描ける人が集まってきました。
昔は、コピー機もなく、印刷もとても高価なので、紙芝居はすべて手書きのオリジナルでした。
だから、全部1点ものなんです。馬糞紙という厚い紙に絵を描き、雨の日でもにじまないように
その上にニスを塗り、作り上げたものをセットにして、絵元(今でいう版元)が紙芝居師に販売します。
紙芝居師はこれを購入して、街中で紙芝居を行なっていました。
『黄金バット』の加太こうじ先生、『カムイ伝』の白土三平先生も、ここで紙芝居を描いていました。


―――そんな歴史ある紙芝居が、現在ではどんどん姿を
消していっているのは残念なことですね。

すねやさん: そうですね。だから私たちは、日本の伝統文化でもある
街頭紙芝居の歴史を継承していくために現在活動しています。
紙芝居師は、いちばん多いときは全国で5万人近くいたらしいのですが、
今では非常に少なくなってしまいました。
私ども漫画家学会では、現在、紙芝居師は約30人登録されており、うち2人は正社員です。
正社員の紙芝居師は、オーディションで決めたのですが、約400名の応募があり、
芸人やアナウンサー、プロレスラーなど様々なパフォーマーが集まってきてくださいました。
紙芝居師の仕事だけで食べていけるようないわゆる「業界」をつくっていきたいと思っています。
そうすれば漫画家に「紙芝居を描く」という仕事がひとつ増えることになります。
先ほど「漫画を通して、あまり知られていないけど、すばらしいものに光を当てたい」というお話をしましたが、
これは漫画だけに限らず、自分自身の活動テーマでもあるんです。
学校で漫画家志望の学生に指導をしていくのも、「まだ世の中に出ていない才能に光を与る」という点で
私の中では作家としての活動の延長だと思っています。


―――今は、どんな紙芝居を行なっているのですか?

すねやさん: ただ紙芝居をするだけでは注目していただくことは難しいので、
新しいイメージを打ち出すようにもしています。
声優さんによるアフレコ形式の紙芝居や3D紙芝居、
今年は世界初のプロジェクションッピング紙芝居なども企画し、
つい最近も、お台場デックス東京ビーチ「台場一丁目商店街」で行ないました。

―――紙芝居とプロジェクションマッピングのコラボは斬新ですね。
ところで、紙芝居とWEB漫画に共通していることはありますか?

すねやさん: 私は、縦スクロールで読むWEB漫画は、紙芝居にも似ていると思っています。
例えば画をスライドして動かすところ。
WEB漫画は紙芝居とは違い見る人が自分で画を動かしますが、
その「自分のペースで見ることが出来る」という部分が「漫画」であるという定義とも言えます。
フルカラーなのも共通しています。
紙芝居から漫画になったという話を先ほどしましたが、紙芝居はカラーだったんですよ。
紙の漫画が白黒中心になったのは印刷の都合なんですね。カラー印刷が高いから。
カラー印刷がすごく安かったら、全ての漫画がカラーだった可能性もあるんです。
今はデジタル配信の時代になって、カラーでもコストがかからなくなってきました。
現実の世界はカラーなので、白黒表現のほうがむしろ特殊なわけです。
もちろんモノクロの良さもたくさんあり紙の漫画の進化では大きな要素の一つになっていますが、
あえてこれからデジタルで白黒のマンガ表現をする必要はないんです。


―――紙の漫画と紙芝居、そしてWEB漫画との関係はとても興味深いですね。
ところで、すねやさんは、今後、WEB漫画が発展していくには、
どんなことが必要だと考えていますか?

すねやさん: WEB漫画が発展するというテーマであれば、まだまだ根強く残っている
紙ベースの考え方から抜け出して、comicoのようにデジタルで完結できる流れを作ることですね。
無料でデジタル作品を提供して、ヒット作をコミックにして回収するというビジネスモデルもありますが、
それだとヒット作がでるうちは良いのですが、出なくなると続けていけなくなってしまいます。
ヒットは面白さを追求した「結果」であって「目的」にしてしまうと
本来の漫画の面白さや自由さを失う危険性があります。
紙の漫画も元々出版のシステム上継続して出版しつづければヒット作が出なくても
回る仕組みになっている所がベースにあり、継続出版せざるを得ない背景があった事が
漫画を量産させる原動力になっていた部分もあったのです。
同じようにWEB漫画が発展するためには、ヒット作の有無に関わらずに
成立するプラットフォームで継続配信することが大切です。
それには紙に依存しないデジタルならではの様々なコンテンツ活用がカギになると思います。
その意味で印刷の呪縛から解放されているcomicoは、すごい可能性を秘めていると私は感じています。
comicoが成功したら、10年後、20年後に
「comicoが、日本の漫画を変えた。あれがデジタルマンガルネッサンスだった」
といわれるようになるのではないかと思っています。

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▲すねやさんがWEB漫画を描くときに使っているwacomのタブレットペン


―――ここまでお話を伺ってきまして、作品を描く時間がないくらい
お忙しいのではないかと思いましたが、いつ描いていらっしゃるのですか?

すねやさん: 作品は、土日と平日の夜に描いています。
今は、月~木の4日間をヒューマンアカデミーの常勤講師として学校勤務。
金曜日は、漫画家学会の事務所で会議や事務作業などを行ない、
土日は、漫画家学会のイベントがあるため必要に応じて補助を行なっています。
最近は、comicoの連載に注力しているので、現場には行けないことも多くなってきましたが……
今はまだ過去に描いたものをオーサリングしているので作業量はそこまで多くはありませんが、
それでも徹夜になってしまうことも少なくありません。
今後は、描き下ろしになるので、アシスタントを入れようと考えています。


―――紙の漫画では、アシスタントがいることは一般的ですが、
WEB漫画では、アシスタントがいるという方はまだ少ないですよね。

すねやさん: そうですね。デジタル作業は、人に頼むのに向いてない部分もあるので
1人ですべてを行なっている人も多いようです。
また、連載経験がない人からは、アシスタントにどう仕事を頼んだら良いのか
わからないという声もよく聞きます。
アシスタントを雇うということは、アシスタントがする仕事を作らないとならない。
つまり、自分の作品の作り方を変えないといけないのです。
この部分はアシスタントにまわすから、ここを先にやってのように……
また、アシスタントがわかるように、キャラクター表や細かい色見本など、
これまでは自分の頭の中にあってアウトプットをする必要がなかった資料も必要になってきます。
1人でやっていた人がアシスタントにお願いすると、一時的には逆に仕事が増えてしまうので、
それなら自分があと1日頑張ればなんとかなると思ってしまうんですよね。

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 ▲ジャストポケット!


―――WEB漫画が成熟すると、アシスタントに対する考え方も
変わってくるのかもしれませんね。
それでは最後になりますが、その覆面の意味を教えていただけますか?

すねやさん: メキシコにスペル・アストロという覆面レスラーがいまして、このマスクは、
ご本人から譲っていただいたものです。
サイズも私にピッタリで気に入ったのでそれ以来、このマスクをかぶって覆面漫画家になっています。
メキシコでプロレスは、日本の相撲のようなもので、プロレスラーは国民の尊敬の対象なんですよ。

今では、メキシコに何度も行くくらいプロレスが大好きなのですが、私がプロレスを好きになったきっかけは、
島本和彦先生の『燃える!!女子プロレス』です。
今日、自分自身のテーマは、「あまり知られていないものに光を当てること」だとお話しましたが、
私も島本先生の漫画をきっかけに女子プロレスと出会って夢中になりメキシコまで行くようになりました。
あっ、覆面漫画家ですが学校では覆面ティーチャーではないですよ(笑)

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▲プロレスが好きになったすねやさんは、女子プロを舞台とした作品『ファイト!真琴』も執筆。
そこには、謎の覆面漫画家のキャッチコピーが!(クリックすると大きくなります。)


【 インタビューを終えて 】
インタビューは、すねやさんが勤めるヒューマンアカデミー東京校にお邪魔してを行ないました。
WEB漫画の可能性、漫画と紙芝居の関係やその歴史など知らないことをたくさん教えていただき、
本当にありがとうございました。
すねやさんは、漫画に対してとても熱い方ですが優しい方でもあり、
教室の撮影を行っていたら、ちょうど隣の部屋にいた学生さんと気さくにお話される様子を拝見して、
学生時代に人気の高かった先生は、すねやさんのような先生だったことを思い出し
懐かしい気持ちになりました。

●作品紹介
ジャストポケット!(連載中:毎週水曜日更新)
読むとストライクがとれる!
本格ボウリングファンタジー!
http://www.comico.jp/articleList.nhn?titleNo=9&vm=top_tls
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●作家プロフィール
すねやかずみ
東京都生まれ。漫画家。
高校2年のときに『週刊少年チャンピオン』新人賞でデビュー。
前川たけし先生のアシスタントを務めたあと独立し、
『週刊少年マガジン』で再デビューを飾る。
現在は、総合学園ヒューマンアカデミー東京校にて常勤講師として
後進の育成するかたわら、株式会社漫画家学会の取締役として
漫画家の活動をバックアップするなど、日本の漫画界に大きく貢献。
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漫画家すねやかずみ Facebookページ
https://www.facebook.com/manga.SuneyaKazumi
株式会社漫画家学会
http://www.mangaka-gakkai.com/
総合学園ヒューマンアカデミー
http://ha.athuman.com/